2006-03-15
副題は『不思議な犬と少年の日々』
竹内真 ソニー・マガジンズ 600円
僕が生まれたその日に、ばあちゃんが犬を連れて帰ってきた。
その名は『オアシス』。
公園で本を読んでいたばあちゃん、
そのとき読んでいた本が砂漠の物語だっんで、その名がついた。
ばあちゃんは『オアシス』をわが子のように可愛がり、
僕とは兄弟のようにして育ってきた。
『オアシス』はボーダーの血が入った雑種で、
自分が捨て犬だったからか、
傷ついていたり、捨てられた生き物を救うことをよくする。
時には大事件にまつわるようなものを拾ってくることもある。
『オアシス』といれば退屈なんてない。
ばあちゃんと『オアシス』の関係が限りなく美しい。
じいちゃんや父と母なども、かなり魅力的である。
この物語は、若々しい生命の躍動と、
弱々しいが確実な生命の底力が物語られている。
限りなく魅力的な『オアシス』を通して見えてくるのは
命の連続性である。
余談だが、この作品は途中まで回顧録のようなものと思っていた。
つまり実話だと思っていたのだ。
『オアシス』と家族たちの物語は、あくまで自然で違和感がない。
筆も気負いのない軽いもので、やはり自然で心地よいリズムである。
これが小説だというところが、この本の凄みを感じる。
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