ミカ×ミカ
2007-01-17


伊藤たかみ  文春文庫  552円

「ミカ! 」
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の続編にあたります。
おとこおんなのミカと、妙に大人びているユウスケ、
双子の兄弟が中学生となって帰ってきた。

「おっぱいなんていらへん」なんて言い、
男の子をぶっ飛ばし、活発に飛び回っていたミカが、
突然「女らしいってどういうこと?」とユウスケにたずねて、
この中学生篇が始まる。

どうやらミカは失恋したらしい。
告白した男の子に「女の子らしい子がええ」と言われたみたいなのだ。
微妙に揺れるミカの姿をユウスケの語りで魅せる作品となっている。

前作では涙を吸収して巨大化する「おととい」というのが脇役?になっていたが、
今作では青いインコ「シアワセ」が双子に思いもよらない初恋をプレゼントしている。
そう、ユウスケも恋をするのだ。

なんてことはない日常に過ぎない物語に、
恋の不思議さや、感情の揺れを見事に捕らえる絶品小説になっていて、
大人も子どもも楽しめるに違いない。

父の再婚に対しての双子の反応が、
ちょっぴり現実的じゃない木もするけれど、
シアワセな人間関係が築けている家族なら、
伊藤氏の描くような結論もありえるのだろうね。

いやな子がいやな子でなくなる瞬間の捉え方は、
本当に脱帽もの。

この兄弟、高校篇を見てみたい気がする。
[読書]

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