マンホール (全3巻)
2007-03-19


筒井哲也  スクウェアエニックス  各館505円

ヤングガンガンというコミック誌に連載していた作品のようだ。
スプラッターかホラーかという導入の割には、
社会的な病理を扱っていて、バイオ・ホラーと謳っているが、
実はサイコサスペンス的要素が強い。


生物研究所で液のコックス症対策を研究していた男の孫娘が、
児童連れ去りによる虐待等の事件に会い、
その克明なビデオの記録を送りつけられ、
あまりの陰惨さに精神に異常な復讐心を持った男が、
目に寄生する原フィラリアを用い、犯人たちへの復讐とともに、
異常な世の中に対してバイオテロを計画するというものである。

物語の中心には、ベテラン刑事と新人女性刑事がいる。

突然マンホールから、全裸の男性が現れ、死ぬ。
死因はフィラリア症。
全身にフィラリアの成虫が寄生し、その一部が目を突き破って死に到った。
次々に起きる同様の変死。
その死に事件性を見た警察は調査を始める。
やがて被害者たちの意外な事実がわかり、犯人として浮かぶ男。
刑事たちは男を追い、バイオテロの阻止を図るが。。。
追い詰めた刑事自身もフィラリアに罹患し、
残された女性刑事は決意を秘め、
ハッカーによる無差別テロ計画についての助言を聞き、
犯人と対峙する。

寄生虫の怖さにも驚かされるが、
いとも簡単にバイオテロが個人で計画できる現代の恐怖と、
児童性犯罪に手を染めるものから受ける被害者たちの怒りの強さ、
憎しみの痛々しさなどがよく描かれている。
[読書]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット