占者に捧げる恋物語
2007-12-03


野梨原花南   集英社コバルト文庫   419円

コバルト文庫は数多いヤングアダルト向け文庫の中で老舗だ。
かつては赤川次郎の「吸血鬼」シリーズなどで、
トップランナーとしての地歩を築いていたが、
このところヒット作がなく、地味な文庫になってきたのかと思う。
が、他の文庫と違い暴力や性描写が刺激的でないため、
ヤングアダルト向けとしての矜持を保っているのだろうと捉えている。
ただ物語が薄っぺらな傾向が感じられる。
老舗文庫の焦りから一般受けを意識しだしたためなのか、
気になるところである。

本作品は2007年春に出版されたもので、
著者は15年も著作活動に従事しているということで、
本作品を含め20冊もの文庫をコバルトかに発表している。
15年という経歴の割には、平易で技巧に走らない文章で、
発想にもこれといった特徴もない。ごく平凡な作家のように思える。

コバルトらしく女子中学生受けしそうなつぼは押さえられていて、
これといった悪意のある登場人物もいず、
唯一の科敵役も絶大な能力を示しているのに、
主人公が打ち破るというお決まりを踏む。

物語は、カリカという少女が、自分を救い育ててくれたスーチャという宮廷占師を、
王の気まぐれから死罪から救おうと、
魔方陣を描き魔王を呼び出すところから始まる。
呼び出された魔王は、できないことはないといいながらね
何もしようとはせず、一緒に償還された自称代賢者のスマートが、
カリカを助けてスーチャ救済を図るどたばたである。

まあ、大人が読むようなものではない。
[読書]

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