十津川警部「荒城の月」殺人事件
2008-02-02


西村京太郎   講談社   571円


くだり特急 富士殺人事件
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以来、久しぶりに西村作品を読んだ。
たまにはリラックスして読みたいと思ったのだ。

西村京太郎は1930年生まれで、1963年に作家でビュー、
以来400冊を超える著作を発表している息の長い作家だ。
売り上げ部数は2億部を超えている。
これは赤川次郎と西村京太郎だけということだ。
メガヒットこそあんまり聞かないが、コンスタントに数十万部売れるのだ。
時おり、展開にくささを感じることもあるが、
常に期待の水準は満たしているのだから凄い。
どの一冊を呼んでも失望することはないのではないかと思っている。

この『「荒城の月」殺人事件』は、
滝廉太郎の名曲の手書き楽譜をめぐるナゾがメインとなる。
上京中に資産家が殺害される。
残された車には港町にナゾの数字が書き込まれた地図が残されていた。
共通点は『荒城の月』。
幻の楽譜をめぐって犯人は第2の犯行を遂行する。
なかなか正体を顕さぬ犯人にと津川は宣戦布告する。
天才贋作師ピカソの会をも巻き込んだ犯人との知恵比べは意外な結末をみる。
贋作ミステリーの秀作。

山田耕作が編曲した『荒城の月』ではない、
オリジナルな楽譜をめぐる経緯は興味深い。
案外実物が見つかるんじゃないかなどと夢が広がる。
[読書]

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