2022-04-16
斎藤ひろし
犬物はこう書けという見本だね。
「迷犬マジック」の感想でも書いたように
犬物を数冊読んでいるなら、あえて読むものではない。
この手の物語は予想外の物語は生まない。
判で押したような物語ばかりになる。
中でも「ハウ」は奇跡をてんこ盛りにしてしまっている点で、
ちょっとばかり作者の勇気に感動してしまった。
犬物をあまり読んでいない人なら読んでも損はないと思うが、
あまりお勧めしたいものではない。
ちなみに「ハウ」はラブラドール・イエロー(白)だそうだ。
「ハウ」は、声帯切除された吠え声から名がとられている。
はじめに描かれる飼い主は、式前日に婚約者に逃げられた
それも紹介してくれた交配に寝取られたしがない公務員で、
上司から犬でも飼えとお躾けられた犬と暮らす男だ。
買い物中に係留していたものが子供たちと遊ぶうち
長距離トラックに乗り込んでしまい遠方へ。
さんざ苦労しながら帰巣本能を頼りに旅していく。
その過程でいくつもの出会いで人を救ったり。…
一方飼い主はペット・ロスで闇落ちしもがく。
カウンセリングで立ち直っていき、
立ち直った時に再会するが、名の変わった姿を知り別れを選択する。
そのあとには新しい人との関係が待っている。
ま。安定の王道だ。
類似小説にさえなじみがなければ読んで損なし。だろう。
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