邪馬台国ははどこですか?
2006-07-14


鯨統一郎  東京創元社  660円

ダンディーで温厚な日本古代史が専門の三谷と、
その助手にして世界史を専攻と豪語する才媛・早乙女静香に
雑誌のライターをしているらしい宮田の3人が、
とあるバーで歴史談義を闘わせる。
バーテンダーの松永が、さしずめ行司という役どころ。

歴史のなぞに迫るミステリなのだけれど、
その体裁は一風変わっている。
酒の上での戯言にしか過ぎないのだからる
学者がライターと論争して、結果にあっと驚くというあたりは面白い。

邪馬台国は青森県。釈迦は悟りに到らなかった。
聖徳太子は推古天皇で、本能寺での謀反は自殺。
明治維新は勝海舟が黒幕、磔にされたイエスはユダだった。

6つの短編で語られる宮田の仮説は、
ある意味で凄い説得力がある。
もしかしたらなんて思わせるところは凄いけれど、
やはり資料の勝手な解釈があちこちでされていて、
ほんまもんの歴史家からは怒られてしまうかも。

参照されている資料はたいてい有名なものばかりなので、
宮田の資料解釈から導き出される理論の面白さには、誰でも気づけます。
にわか歴史ファン、高校での授業程度の知識で十分に楽しめます。
安楽いす探偵ならぬ止まり木探偵宮田に注目。
歴史ミステリという分類だけれど、与太話、大風呂敷の類のユーモア小説。
静香がヒステリックな女性という印象を強めるのはごあいきょう。
[読書]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット