『わたしのグランパ』
2007-06-09


筒井康隆 著 文藝春秋 1999刊 ¥95
今はもう見る事が少ない一本芯のとおった侠気(おとこぎ)溢れる老人
ちょっと前まで街の銭湯なんかには必ずいた、
いなせで気風が良くて、
無茶もするけど愛されている老人が大活躍する活劇小説の登場だ。

 珠子は平凡な学校に通う中学生。祖母と両親の4人暮らし。
そんな珠子には、囹圄(れいご)の人と書かれる祖父がいることを、
小学生のとき知った。
 中学生の珠子は、いじめに会っている子を助けたため、
執拗ないじめにあっていた。家庭では地屋の嫌がらせを受けている。
そんなとき、祖父が刑務所から帰ってきた。
和服の着流しに五分刈りの胡麻塩頭で。
 祖父は刑務所に入ったものの、町の住人からは好かれているらしく、
信頼もされている。
そんな祖父が帰ってきてから、珠子の周囲は大きく変わる。
 凛とした生き方をする祖父によって、
学校で暴れている子供たちも変わって行く。
 
 そんな祖父には謎があった。
たいして働いていないのに金回りが良いのだ。
そのことがやがて珠子を大活劇に巻き込むのだった。

 小気味良い解決を堪能してください。

 このワイルドに生きた祖父はあっけなく死んでしまう。
あっけなくこの世を去ったとき、係った総ての人がひとつの感慨を持つ。
なかでも祖母の一言は胸を打つ。
 易しい文体で書かれた秀作です。ぜひ読んで感動してください。
[読書]

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